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悪い奴ほどよく眠る

「蜘蛛巣城」「どん底」「隠し砦の三悪人」と立て続けに三本の時代劇に打ち込んだ黒澤明は、自身の製作会社、黒澤プロダクションを設立。
これによって彼は監督としてではなくプロデューサーとしても責任を持つ立場となります。
黒澤プロダクションの第一作は「最初からヒットを狙う作品は観客には無礼である。何か意義のある題材はないだろうか」悩んだ黒澤は当時の社会状況に目を向けます。
昭和35年1960年の日本は高度経済成長のまっただ中。人々が裕福になるにつれ社会犯罪も増えました。
黒澤はその中でも、政治がからんだ汚職事件に注目します。

「悪党にもいろいろいるが、その中でも汚職関係者ぐらい悪い奴はいない。彼らは大きな機構のかげにかくれて 普通人のやれない悪事をやっている。これをえぐり出すような 映画を作ることは 決して無意味なことではない」(黒澤明 全作品集 より)

黒澤は汚職を徹底的に追求する映画を記念すべき最初の作品に決めます。

政治がらみの汚職というリアルな問題を題材にしたため脚本作りは難攻しました。
あまり踏め込めば映画化は難しくなる。黒澤はこれまで自分の映画作りを支えてきた脚本家たちに声をかけました。(小国・菊島・橋本・久板)
黒澤含め、最多五人が顔をそろえ何度も泊まりこみの合宿を慣行。スリリングな作品に仕立て上げました。
苦労の末生まれた社会派ドラマの傑作は黒澤にとって新たな船出となったのです。
・映像と音楽の対位法を使った。(悲しい場面に楽しい音楽での緊張感をもたらした)